ホテルのAIコンシェルジュ|フロント・ロビーのサイネージで任せること
ホテルのAIコンシェルジュに向いているのは、Wi-Fiのパスワード、朝食の時間、チェックアウトの手順、近くのコンビニといった、毎日何十回も聞かれる案内です。外国語での問い合わせと、スタッフが少ない夜間に効きます。
反対に、精算のトラブル、体調不良、苦情は人が受け持ちます。導入の成否は、AIが答えられないときにスタッフへどうつなぐかを先に決めておけるかで、ほぼ決まります。
夜のフロントで何が起きているか
深夜1時過ぎ。フロントには当直のスタッフが一人で、バックヤードで翌日の予約を確認しています。そこへ長いフライトを終えた海外のお客様が到着し、続けて日本人のお客様が「製氷機はどこですか」と降りてくる。電話も鳴る。
ホテルのフロントで受ける質問は、内容だけ見ると難しくないものがほとんどです。大変なのは、それが時間を選ばず、言語を選ばず、同じ内容で何度も来ることです。AIコンシェルジュ(AIアバターが画面に映り、声で会話して案内するサイネージ)が入る余地があるのは、まさにこの部分です。
AIコンシェルジュに任せやすいこと
答えが決まっていて、ホテル側で事前に用意できる案内です。フロントでよく聞かれる質問を1週間ほどメモしてもらうと、大半がここに入るはずです。
| 分類 | よくある質問の例 |
|---|---|
| 館内設備 | 朝食会場と時間、大浴場、製氷機・自販機・コインランドリーの場所、Wi-Fiのつなぎ方 |
| 手続きの流れ | チェックイン・アウトの手順、荷物の預かり、レイトチェックアウトの可否 |
| アメニティ・貸出品 | 歯ブラシや充電器の有無、どこで受け取れるか |
| 周辺案内 | コンビニ、駅への道、近くで夜遅くまで開いている飲食店 |
| 交通 | 空港・駅へのアクセス、タクシーの呼び方 |
画面にアバターがいて声で話せる形だと、タッチパネルの案内板より気軽に使われます。スーツケースを持ったまま、あるいは子どもの手を引いたまま、話しかけるだけで済むからです。
人が受け持ったほうがいいこと
判断や責任、身体の安全が絡むものはAIに答えさせず、人へつなぎます。料金や精算の食い違い、予約内容のトラブル、部屋の設備の故障、苦情、そして急病やけが。お客様が困っていたり怒っていたりする場面で、AIが定型文を返すと印象を悪くします。
チェックイン時の本人確認や宿泊者名簿の扱いも、AIだけで完結させる前提にはしないほうが安全です。必要な手続きは法令や自治体の運用によって変わるため、所管の窓口や専門家に確認したうえで、AIは手順の案内役にとどめる形が無難です。本記事は一般的な情報としての整理であり、個別の判断は専門家にご相談ください。
多言語の問い合わせ
インバウンドのお客様が多いホテルでは、多言語対応がAIコンシェルジュを入れるいちばんの理由になりがちです。比べるときに「何か国語に対応」という数だけ見ても、現場での使いやすさはわかりません。
差が出るのは、話しかけた言語を自動で判別してくれるかどうかです。画面でまず言語を選ばせる方式だと、ロビーに置いたとき素通りされやすい。英語で「Hi」と話しかけたら英語で返ってくる、くらいの手軽さがあると使われます。
もう一つは固有名詞の読み方です。ホテル名、近くの駅名、地域特有の地名をAIが読み間違えると、案内そのものが伝わりません。読みを後から登録して直せるかは、導入前に必ず確かめておきたいところです。
観光案内・周辺案内はどこまでできるか
「近くでラーメンが食べられるところは」「明日、雨でも行ける観光地は」。こうした質問への答え方は、大きく二通りあります。
一つは、ホテルが用意した周辺情報をAIの知識として登録しておくやり方です。スタッフが実際におすすめしている店や、地元ならではの過ごし方を入れておけば、ホテルらしい案内になります。もう一つは、検索と連携して、その時間に営業中のお店などをその場で調べて答えるやり方です。深夜や早朝の「今開いている店」はこちらが強い。
実際には両方を組み合わせることが多いです。ホテルとして推したい店は自分たちで登録し、それ以外は検索に任せる。季節のイベントや臨時休業の情報は、現場の担当者が管理画面からすぐ直せる形にしておくと、案内が古くなりません。観光案内をAIアバターに任せる場合も考え方は同じで、施設の外の情報ほど更新の手間を見込んでおく必要があります。
どこに置くか
目的によって向く場所が違います。夜間の一次対応やチェックインの案内が目的なら、フロントカウンターの横。お客様が最初に向かう場所なので、スタッフ不在時の受け皿になります。観光案内や館内案内が目的なら、エレベーター前やロビーの通り道のほうが、ついでに話しかけてもらえます。
置き場所が決まったら、現地で次の点を確かめます。
- BGMや会話、自動ドアの音をマイクが拾いすぎないか
- 立ったまま画面を見やすく、車いすのお客様にも届く高さか
- 電源とネットワークが取れるか、配線が通路をふさがないか
- 和室の旅館やクラシックなロビーなど、内装とアバターの見た目が合っているか
端末や方式による費用の違いは、別記事のAIアバターサイネージの費用と選び方で詳しく比べています。
スタッフへのつなぎ方
ここが一番大事で、一番後回しにされやすいところです。
AIが答えられない質問や、人が対応すべき内容が来たときの流れを、具体的に決めておきます。たとえば「AIが要件とお名前、部屋番号を聞き取り、当直スタッフのスマートフォンやチャットに要約を送る」「お客様には、スタッフが何分くらいで来るかを伝える」。ここまで決まっていれば、お客様は待たされても放っておかれた感じがしません。
夜間は当直者が一人のことも多いので、通知を受ける人と、その人が出られないときの次の連絡先を決めておきます。急病や火災などの緊急時は、AIを介さず直接連絡できる手段(フロントの呼び出しボタンや内線)を、サイネージのそばに必ず残してください。
会話の記録が残る製品なら、答えられなかった質問を週に一度見直して、知識に足していきます。導入から最初の1か月は、ここで案内の質が一番伸びます。
導入前に決めておくこと
技術的な準備より、ホテル側で決めることのほうが時間がかかります。
- AIに任せる質問と、必ず人へつなぐ内容の線引き
- 館内情報・周辺情報・よくある質問の元になる資料と、その更新担当者
- 人へつなぐときの通知先(時間帯ごと)と、お客様への伝え方
- アバターの見た目と話し方(ビジネスホテルと旅館では合う雰囲気が違います)
- 会話記録の保存期間など、お客様の情報の扱い方
案内内容の元資料は、すでにあるフロントのマニュアルや客室の案内冊子がそのまま使えることが多いです。まずそれを集めるところから始めると早く進みます。
よくある質問
- ホテルのAIコンシェルジュは、フロントスタッフの代わりになりますか?
- 全部の代わりにはなりません。館内設備、チェックイン・アウトの手順、Wi-Fi、周辺のお店といった繰り返し聞かれる案内を受け持ち、精算のトラブルや体調不良、苦情の対応は人が受け持つ、という分担で使うのが現実的です。
- 外国語で話しかけられたとき、言語は自動で切り替わりますか?
- 製品によります。話しかけられた言語を自動で判別するものと、画面で言語を選んでもらうものがあります。ロビーに置くなら、説明なしで話しかけてもらえる自動判別のほうが使われやすくなります。
- 夜間の無人時間帯にも使えますか?
- 道順や設備、手続きの流れなどの案内は夜間も任せられます。ただし、急病や設備の故障、鍵のトラブルのように人が動く必要がある場面のために、AIから当直者や緊急連絡先へつなぐ経路を必ず用意してください。
- 周辺の飲食店や観光地の案内は、どうやって最新に保ちますか?
- ホテル側で用意した周辺情報をAIの知識として登録し、管理画面から更新していくのが基本です。検索と連携できる製品なら、営業中のお店などをその場で調べて答えることもできます。どちらの場合も、ホテルとしておすすめしたい情報は自分たちで登録しておくと案内の質がそろいます。
- 置き場所はフロントの横とロビーのどちらがよいですか?
- 夜間の一次対応やチェックインの案内が目的ならフロントの横、観光案内や館内案内が目的ならエレベーター前やロビーの通り道が向いています。どちらも、マイクが周りの音を拾いすぎないか、立ったまま画面を見やすい高さかを現地で確かめてから決めてください。
AIコンシェルジュ AICAの場合
当社の「AIコンシェルジュ AICA」は、ホテルのフロントやロビーに置けるAIアバター受付・AIアバターサイネージです。お客様の言語を自動で判別し、日本語・英語・中国語・韓国語・スペイン語・フランス語など主要な言語で、チェックイン・アウトの手順、館内施設やWi-Fi、アメニティ、周辺の観光・飲食店をご案内します。24時間常設で稼働するため、深夜・早朝の無人時間帯の一次対応にも使えます。
アバターは3Dと2Dアニメーションから選べ、ホテル・受付向けのコンシェルジュ風や、旅館に合う和装のキャラクターも用意しています。案内内容やAIの話し方、地名などの読み方の辞書は、kintoneアプリとして提供する管理画面から自社で編集でき、会話履歴は自動で要約して保存、Slackへの通知にも対応します。拡張プラン以上では検索連携により営業中のお店などをその場で調べて答えられ、フルカスタムではPMS(ホテル管理システム)や予約システムとの連携も開発できます。
- スタンダード(5回線):初期費用 600,000円/月額 180,000円(税抜)。完全定額制で、会話時間による従量課金はありません
- 拡張(10回線〜):10回線 月額330,000円、20回線 月額540,000円(税抜)。多拠点展開向け
- フルカスタム:オリジナルキャラクター制作・外部システム連携など。初期費用 1,000,000円〜(税抜)、月額は個別見積
導入はスタンダード・拡張プランで約2週間が目安です。最低契約期間は3か月で、1か月のお試しプランもあります。電話の一次対応から始めたい場合は、電話AI「AICA Call」(月額49,800円〜、税抜)も選べます。
※ 価格は製品ページ掲載のもの(税抜)です。正式な料金は、用途・回線数・稼働時間などをうかがったうえでお見積りします。