営業ロープレのシナリオ例5選と評価シート——15分の進め方とお客様役のコツ
営業ロープレを明日から始めるなら、必要なのは「シナリオ」「評価シート」「進行表」の3つです。シナリオには、場面の設定だけでなくお客様役のふるまいと評価の観点まで書いておくと、誰が相手役でも同じ練習になります。このページでは、テレアポ初回・受付突破・訪問商談のヒアリング・価格交渉・クロージングの5つのロープレ例と、そのまま印刷して使える評価シート、15分で1回を回す進行表をまとめました。自社の商材に合わせて言葉を入れ替えて使ってください。
シナリオは「設定・ふるまい・ねらい・観点」の4点で書く
ロープレのシナリオというと、営業役のトーク台本を思い浮かべがちです。しかし練習の質を決めるのは、むしろお客様役の側の情報です。お客様役が「どんな立場で、何に困っていて、どこで渋るのか」を知らないまま演じると、その場の思いつきで反応が変わり、練習のたびに難しさがばらばらになります。
このページのシナリオは、すべて次の4つの項目で書いています。自社でシナリオを作るときも、この枠を埋めるだけで形になります。
- 設定:場面(電話か対面か)、お客様の業種や立場、これまでの経緯、営業役のゴール。
- お客様役のふるまい:最初の態度、必ず言う断りや質問、どんな一言が出たら態度をゆるめるか。
- ねらい:このシナリオで身につけたい力を一つ。
- 評価の観点:終わったあと、評価シートのどの項目を特に見るか。
なかでも大事なのは、「どんな一言が出たら態度をゆるめるか」を決めておくことです。これがないと、お客様役が最後まで断り続けて終わるか、逆にすぐ折れてしまうかのどちらかになり、営業役は何が効いたのかを学べません。
すぐ使える営業ロープレのシナリオ例5選
以下は、法人向けの業務サービスを売る営業を想定したロープレ例です。商材名やお客様の業種は、自社に合わせて置き換えてください。難しさは、上から順に少しずつ上がるように並べています。
例1テレアポ初回——担当者に直接つながった電話
- 設定
- 面識のない会社の担当者に、初めて電話をかける場面。担当者本人が電話に出た。営業役のゴールは、15〜30分のオンライン説明の日程をもらうこと。
- お客様役のふるまい
-
- 作業の手を止めて出たので、最初は少し早口で素っ気ない。
- 名乗りのあとに一度、「今ちょっとバタバタしてて」と言う。
- 用件が30秒以上見えなければ「資料だけ送ってください」と切り上げにかかる。
- 自分の仕事に関係する困りごと(手間・時間・ミスなど)を具体的に言い当てられたら、「それはまあ、あるけど」と少し話を聞く姿勢になる。
- ねらい
- 最初の一言で、なぜこの人に電話したのかを短く伝え、聞く理由を持ってもらう力。
- 評価の観点
- つかみ/簡潔さとテンポ/目的の明確さ/次の行動の決め方
例2受付突破——代表電話で受付の方が出た
- 設定
- 会社の代表番号に電話し、受付の方が出た場面。担当部署の責任者につないでもらうのがゴール。担当者の名前は分かっていない。
- お客様役のふるまい
-
- 丁寧だが、営業電話には慣れていて、最初に「どういったご用件でしょうか」と必ず聞く。
- 「ご案内です」「ご提案です」だけなら、「営業のお電話はお断りしております」と返す。
- どの部署の、どんな業務に関わる話かが具体的で、相手の手間を気づかう一言があれば、「担当に確認します」と保留にする。
- 担当者が不在の設定にしてもよい。その場合、折り返しの段取りをどう決めるかを見る。
- ねらい
- 受付の方を「突破する相手」ではなく「取り次ぐかを判断する人」と捉え、判断に必要な情報を短く渡す力。
- 評価の観点
- 目的の明確さ/相手への配慮/声(落ち着き・聞き取りやすさ)/切り返し
例3訪問商談のヒアリング——課題を聞き出す初回訪問
- 設定
- アポイントが取れて、初めて訪問した場面。相手は現場の課長。営業役のゴールは、課題・今のやり方・決め方(誰が・いつまでに)の3つを聞き出し、次回の提案の場を約束すること。
- お客様役のふるまい
-
- 協力的だが、聞かれたことにしか答えない。自分から課題は話さない。
- 「今のやり方でも、なんとか回っています」と一度は言う。
- 「なんとか、というのは?」のように深掘りされたら、実は担当者の残業が増えている、という本音を話す。
- 決め方を聞かれなければ、最後まで「上に相談が必要」とは言わない。
- ねらい
- 商品説明を我慢して、質問で相手の状況を立体的にする力。特に、決裁の流れを自分から確かめにいけるか。
- 評価の観点
- 課題の聞き出し/決裁の流れの確認/話す量と聞く量のバランス/次の行動の決め方
例4価格交渉——「もう少し安くならない?」と言われた
- 設定
- 2回目の打ち合わせで見積もりを出した直後の場面。相手はサービス自体には前向き。営業役のゴールは、値引きの約束をその場でせず、価格に見合う理由を示したうえで検討を進めてもらうこと。
- お客様役のふるまい
-
- 見積もりを見て、まず黙る。数秒おいて「思ったより高いですね」と言う。
- 「ほかにも話を聞いているところがあって」と比較をにおわせる(具体的な社名は出さない)。
- 営業役がすぐ値引きを口にしたら、さらに下げられないかと押す。
- 導入後に減る手間や、今かかっている費用との比べ方を一緒に考えてくれたら、「上に説明する材料があれば検討しやすい」と前向きになる。
- ねらい
- 沈黙や「高い」の一言に慌てず、相手が何と比べて高いと感じているのかを確かめてから、費用に見合う効果を相手の言葉で説明する力。
- 評価の観点
- 切り返し/費用に見合う効果の示し方/相手への配慮/信頼関係
例5クロージング——「検討します」で終わらせない
- 設定
- 提案の説明が一通り終わった場面。相手は好意的だが、決め手に欠けている。営業役のゴールは、導入の判断に向けた次の具体的な一歩(社内説明の日程、試用の開始日など)を決めること。
- お客様役のふるまい
-
- 「いいですね。一度社内で検討します」と、穏やかに締めにかかる。
- 「いつまでに」「誰と」と聞かれなければ、具体的なことは言わない。
- 不安な点を聞かれたら、「現場が使いこなせるか心配」と一つだけ打ち明ける。
- その不安に答えたうえで日程の候補を2つ出されたら、どちらかを選ぶ。
- ねらい
- 「検討します」を合図に話を終えるのではなく、残っている不安を一つ聞き出し、次の行動を日付まで決める力。
- 評価の観点
- 次の行動の決め方/残っている不安の確認/押しつけになっていないか/信頼関係
※お客様役のふるまいは、慣れてきたら一段ずつ厳しくしてください。たとえば例1なら「切り上げにかかるまでの時間を短くする」、例4なら「比較をにおわせる回数を増やす」といった調整で、同じシナリオを長く使えます。
営業ロープレの評価シート(そのまま使える表)
評価シートは、5つのシナリオに共通で使えるように作っています。項目ごとに「できた」「もう少し」のどちらかに印をつけ、メモ欄には実際に言った言葉をそのまま書くのがコツです。「説明が長い」と書くより、「『弊社は〜』から始めて用件まで40秒かかった」と書くほうが、次に何を直せばよいかが伝わります。
| 観点 | 見るポイント | できた | もう少し | メモ(実際の発言) |
|---|---|---|---|---|
| つかみ | 最初の一言で、なぜ今この人に連絡したのかを伝えられたか | □ | □ | |
| 目的の明確さ | この場で何をお願いしたいのかが、相手に伝わったか | □ | □ | |
| 簡潔さとテンポ | 一文が長すぎず、相手の反応を待つ間があったか | □ | □ | |
| 聞き出し | 課題・今のやり方・決め方を、質問で引き出せたか | □ | □ | |
| 切り返し | 断り・沈黙・「高い」に、慌てず次の一言を返せたか | □ | □ | |
| 相手への配慮 | 相手の状況を気づかう一言があったか。押しつけになっていないか | □ | □ | |
| 次の行動 | 日程・担当・期限など、次の一歩を具体的に決められたか | □ | □ | |
| 声と話し方 | 声の大きさ、速さ、抑揚は聞き取りやすかったか | □ | □ |
シートの下には、次の3行を書く欄を設けておくと、振り返りが行動につながります。
- いちばん良かった一言:そのまま次回も使う言葉。
- いちばん惜しかった一言:言い換えるならどう言うか、まで書く。
- 次回直すこと(一つだけ):複数書かない。一つに絞る。
すべての観点を毎回同じ重さで見る必要はありません。シナリオに書いた「評価の観点」に印をつけておき、そこを重点的に見ると、見る側の負担も軽くなります。点数をつける場合も、点数そのものより「どの発言でそう判断したか」を残すことを優先してください。
15分で1回を回す進行表
ロープレは、長くやるほど良いわけではありません。準備から振り返り、やり直しまでを15分に収めると、業務の合間にも組み込みやすくなります。営業役・お客様役・見る人(記録係)の3人を想定した進行表です。2人で行う場合は、お客様役が記録係を兼ねます。
| 時間 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜2分 | シナリオの共有 | 営業役には「設定」と「ねらい」だけを渡す。お客様役のふるまいは、営業役には見せない。 |
| 2〜3分 | 営業役の準備 | 最初の一言とゴールだけを確認。台本を読み込む時間にはしない。 |
| 3〜7分 | 1回目のロープレ | 途中で止めない。記録係は評価シートに発言をそのまま書き取る。 |
| 7〜11分 | 振り返り | ①営業役の自己評価 → ②お客様役の感想(どの一言で気持ちが動いたか)→ ③記録係が評価シートで良かった一言・惜しかった一言を伝える、の順で。 |
| 11〜14分 | 2回目(やり直し) | 直すことを一つだけ決めて、同じ設定でもう一度。全体ではなく、惜しかった場面の少し前から再開してもよい。 |
| 14〜15分 | 記録を残す | 次回直すことを一行で書き、評価シートを保管。次回はその一行から始める。 |
振り返りの順番を「営業役の自己評価から」にしているのは、本人が気づいていることと、周りから見えたことのずれを確かめるためです。最初に周りが指摘すると、本人は受け身になりやすく、自分で考える機会が減ってしまいます。
2回目を必ず入れるのも大切です。指摘を受けて終わりにすると、「分かったつもり」のまま本番を迎えることになります。同じ場面で言い直し、言いやすさの違いを体で確かめるところまでを1回のロープレと考えてください。
お客様役がやりがちな失敗と直し方
ロープレがうまく機能しない原因は、営業役よりもお客様役の側にあることが少なくありません。よくある失敗と、その直し方をまとめます。
難しくしすぎる
本番より厳しいお客様を演じると、営業役は何を言っても通らない経験だけを積むことになります。練習の目的は、言葉が効く感覚をつかむことです。シナリオに書いた「態度をゆるめる条件」を満たしたら、きちんと反応を変えてください。
すぐに折れてしまう
反対に、相手が新人だからと遠慮して、最初の切り返しで納得してしまうのも失敗です。シナリオで決めた断りや質問は、最低一度は必ず出すようにします。
演技の途中で指導を始める
お客様役が「そこはこう言ったほうがいいよ」と役から外れて話し出すと、場面が途切れ、営業役は最後まで通して話す練習ができません。気づいたことはメモに残し、振り返りの時間に伝えます。
シナリオにない事情を足してしまう
その場の思いつきで「実は来月で担当を外れるんです」のような設定を足すと、営業役が対応できないうえ、評価の観点もずれてしまいます。新しい事情を試したい場合は、次回のシナリオとして書き足してから使いましょう。
感想が「よかったと思う」で終わる
お客様役の感想で一番役に立つのは、「どの一言で気持ちが動いたか」「どの一言で聞く気がなくなったか」です。演じながら、気持ちが動いた瞬間の発言を覚えておくようにすると、振り返りが具体的になります。
こうしたお客様役の負担や、相手役を毎回確保する難しさを減らす方法として、AIをお客様役にして一人で練習するやり方もあります。進め方は営業ロープレをAIで練習する方法で解説しています。
よくある質問
ロープレのシナリオは、いくつ用意すればよいですか?
評価シートの観点は、いくつくらいが適切ですか?
お客様役は、誰が務めるのがよいですか?
商談カルテでは、このようなシナリオに沿ったロープレができますか?
ロープレの採点と記録を自動で残すなら
商談カルテなら、評価シートの記入をAIが引き受けます
商談カルテは、対面の商談の録音やアプリからかけた営業電話をAIが7つの軸で採点し、良かった一言と惜しかった一言を実際の発言のまま返す営業育成アプリです。オプションで、AIがお客様役になる営業ロープレと、トークスクリプトの自動生成をご利用いただけます。
- AIお客様が電話に出る練習モード:相手役は登録した商材の資料を読んでいるので、実際のお客様が聞きそうな質問や「間に合ってます」という断りが返ってきます。お客様のタイプも選べます。
- 練習も本番と同じ基準で採点:練習の通話も営業電話専用の7つの軸(つかみ・簡潔さとテンポ・目的の明確さ・切り返し・クローズ・相手への配慮・声)で採点され、カルテとして残ります。
- 商材専用のトークスクリプト:商材の紹介ページや資料PDFを登録すると、電話用・対面用、相手のタイプ別の台本を作ります。数字や価格は、登録した情報にあるものだけを使います。
- 管理者と一緒に練習:練習通話は管理者のアカウントからかけます。練習はアプリ内で完結するため、通話料はかかりません。
料金は営業1名 月5,980円〜(5IDから)。AIロープレ・トークスクリプト生成はオプションです。詳しくはお問い合わせください。