親の見守り、電話で知らせる方法とアプリ通知の違い離れて暮らす家族の受け取り方

離れて暮らす親の見守りで、異変を家族にどう知らせてもらうか。急いで動く必要がある知らせは電話で受け、毎日の様子や履歴はアプリやLINEで見る。この分け方が、いちばん無理が少ないと考えています。
アプリの通知は情報が多く、あとから見返すのにも向いています。ただ、画面に一行出るだけなので、マナーモードや会議中には気づかないまま残ります。電話は鳴り続けるので気づきやすく、誰かが出れば「受け取った人がいる」ことがはっきりします。
内閣府の令和8年版高齢社会白書によると、65歳以上の人のうち一人暮らしの人の割合は、昭和55年には男性4.3%、女性11.2%でしたが、令和2年には男性15.0%、女性22.1%になり、令和32年には男性26.1%、女性29.3%になると見込まれています。離れた実家の様子をどう知るかは、多くの家族にとって身近な問題です。
「電話で見守る」には3つの形がある
親の見守りと電話というと、思い浮かべるものが人によって違います。
ひとつは、家族が親に電話をかける形です。声を聞けばわかることは多く、お金もほとんどかかりません。ただ、親が電話に出ることが前提で、出なかったときに何が起きているのかは分かりません。
ふたつめは、自動の電話が決まった時間に親にかかり、親が応答して無事を知らせる形です。毎日決まった時間に確認できる一方で、これも親が電話に出て操作することが前提です。確認と確認のあいだに起きたことは、次の確認まで分かりません。
みっつめは、家に置いたセンサーなどが異変に気づき、家族の電話に知らせる形です。親は何も操作しません。玄関のドアが夜中に開いた、いつもの時間になっても居間で人の動きがない、といったことをきっかけに、家族の電話が鳴ります。
ここから先は、このみっつめの形で、知らせを電話で受けるかアプリの通知で受けるかの話です。見守りの方法全体を比べたいときは 高齢者の一人暮らしの見守り方法を比較 を、親が電話に出ないときに家族で決めておくことは note の 親が電話に出ないと心配…慌てないために家族で決めておくこと を読んでみてください。
電話とアプリ通知、どこが違うか
同じ「異変があったら知らせる」でも、受け取る側の体験はかなり違います。
| 電話で知らせる | アプリの通知で知らせる | |
|---|---|---|
| 気づきやすさ | 着信音が鳴り続けるので気づきやすい | 画面に表示されるだけ。音を切っていると気づきにくい |
| 受け手に必要な準備 | 電話に出るだけ | アプリを入れ、ログインし、通知を許可しておく |
| 何人かで受けるとき | 順番にかけていく。出た人がいれば止まる仕組みもある | 全員に同時に届く |
| 誰が対応したか | 出た人と時刻で分かる | 既読の表示などがなければ分かりにくい |
| 伝えられる情報 | 音声で短く。いつ、どこで | 時刻、場所、過去の履歴まで詳しく |
| 見逃しやすい場面 | 運転中、会議中、知らない番号として出なかったとき | マナーモード、通知が多くて埋もれたとき、機種変更で設定が消えたとき |
表の中で見落とされやすいのが、何人かで受けるときの違いです。
アプリの通知は、兄弟3人に同時に届きます。一見いちばん安心に思えます。ところが平日の昼間、兄は営業先で、妹は子どものお迎えで、弟は会議中。それぞれ通知には気づいたものの、「誰かが見ているだろう」と思って、結局だれも親に電話をしていなかった。全員に届くことと、誰かが動くことは、別の話なんですよね。
電話の場合は、1番目の人が出なければ2番目の人へ、と順番に回せます。出た人が受け取った人です。その人がまず動く、と決めておけば、譲り合いが起きにくくなります。
アプリの通知を見逃すのは、こんなとき
アプリの通知が悪いわけではありません。見逃しやすい場面が、毎日の暮らしの中にふつうにあるということです。
仕事中はスマホを伏せて置いている。夜はおやすみモードにしている。ほかのアプリの通知が一日に何十件も来て、見守りの通知もその中に混ざる。スマホを買い替えたときに、見守りのアプリにログインし直すのを忘れていた。省電力の設定によっては、アプリの通知が遅れて届くこともあります。
どれも、本人の不注意というより、スマホの使い方として当たり前のことです。毎日の様子を知るにはアプリで十分でも、夜中に玄関が開いたという知らせだけは、気づかなかったでは済まない。だから急ぎの知らせだけは、鳴り続ける電話に分けておく、という考え方になります。
電話で受けるなら、出たあとの一手まで決める
電話で知らせを受ける形にするなら、家族で決めておくことがあります。
まず順番です。平日の昼、夜、週末で、電話に出やすい人は変わります。夜に起きていることが多い人を夜の1番目にする、平日の昼は在宅で働いている人を1番目にする、というように、時間帯ごとに決めておきます。
次に、誰も出なかったときです。もう一度順番にかけ直すのか、近くに住む親戚に回すのか。家族の電話だけで回すと、どうしても近くに住む人や、出やすい人に負担が偏ります。負担の偏りは、続けているうちに不満になりやすいので、最初から順番を入れ替える日を作っておくのも手です。
そして、電話に出た人が最初に何をするか。たとえば、まず親の携帯と家の電話にかける。出なければ、近くに住む親戚に見に行ってもらえるか頼む。それも難しいときに相談できる先として、親の住む地域の地域包括支援センターの連絡先を、家族みんなが分かる場所に書いておきます。ここまで決まっていると、夜中に電話が鳴っても、何をすればいいかで迷う時間が減ります。
着信を逃さないスマホの設定
電話で知らせる仕組みにしても、受ける側のスマホが鳴らなければ意味がありません。入れたら一度、次のことを確かめておきます。
- 知らせてくる電話番号を連絡先に登録し、「実家の見守り」など一目で分かる名前をつける。知らない番号として無視したり、迷惑電話の対策で止められたりしないように
- おやすみモードや集中モード、サイレントの設定で、その番号からの着信だけは鳴るように例外に入れておく
- 着信音をほかの電話と違う音にしておく
- 実際に夜、テストで鳴らしてもらい、自分のスマホが本当に鳴るかを確かめる
機種によっては、同じ番号から短いあいだに続けてかかってきた電話を、おやすみモード中でも鳴らす設定があります。順番に何度もかけ直す仕組みとは相性がよいので、自分のスマホの設定画面で探してみる価値はあります。
組み合わせると、たとえばこうなる
ある家族の決め方を例にします。実家で一人暮らしをしている母。長男は車で2時間の距離、長女は飛行機の距離に住んでいて、母の家の近くには叔母がいます。
夜中に玄関のドアが開いたときや、朝になっても居間で動きがないときは、電話で知らせが来ます。順番は長男、長女、叔母。時刻と場所は、あとからSMSやLINEでも確認できるようにしておき、気になったときに見返します。毎日の電話はやめて、週末に長女が母と少し長めに話す。電話は会話を楽しむためのものにしました。
母には、つける前に「自分たちが安心したいから」と頼み、カメラは使わないことを伝えて了承をもらっています。
毎日の安否確認をどう続けるかで迷ったときの比べ方は、note の 安否確認の方法、一人暮らしの親と「毎日」続けるならどれ? に、家族が実際に試して変えていった話があります。
この記事は一般的な情報です。親の心身の状態に合う見守りの方法や、介護保険などの制度が使えるかどうかは、ケアマネジャーや地域包括支援センター、お住まいの自治体に相談してください。どの方法も事故や病気を防ぐものではなく、家族が気づくきっかけを増やすためのものです。
読んで気になったことは、AICA にそのまま聞けます
お名前も連絡先も入力はいりません。声でも文字でも話せます。導入の相談になりそうなら、AICA が担当者につなぎます。
よくある質問
- 親がスマホを持っていなくても、電話で知らせる見守りは使えますか?
- センサーで異変に気づいて家族に電話する仕組みなら、親が電話やスマホを操作する必要はありません。電話を受けるのは家族の側です。自動の電話が親にかかって無事を確かめる形のサービスは、親が電話に出て操作することが前提になるので、どちらの形かを確かめてから選んでください。
- 夜中に電話が鳴るのが心配です。
- 知らせを有効にする時間帯や、どんなときに電話をかけるかの条件を決められるものがあります。夜に起きていることが多い家族を夜の1番目にする、平日と週末で順番を変えるなど、家族の暮らしに合わせて決めておくと、受ける側の負担が小さくなります。
- 知らない番号からの電話には出ないようにしています。
- 知らせてくる電話番号を、あらかじめ連絡先に登録しておいてください。「実家の見守り」のような名前をつけておけば、画面を見ただけで何の電話かが分かります。迷惑電話を止める設定やアプリを使っている場合は、その番号が止められていないかも確かめておきます。
- 電話とアプリやLINEの通知を、両方使うことはできますか?
- できるサービスがあります。急ぎの知らせは電話で受け、時刻や場所などの詳しい内容はSMSやLINEであとから確認する、という使い分けができます。
- 電話がかかってきたのに、親は何事もなかった場合は?
- 何もなかったと分かったことも、見守りの役目のひとつです。ただ、同じような電話が何度も続くなら、知らせる時間帯や条件が親の暮らし方に合っていない可能性があります。いつ、どんなときに鳴ったかを書き留めて、条件を見直してください。





