NATIVE CREATION ロゴNATIVE CREATION, Inc.
  1. ホーム
  2. コラム
  3. 営業の引き継ぎのやり方

営業の引き継ぎで顧客を離さないやり方引き継ぎ書の項目・同行・担当変更のあいさつ

営業・商談公開日 2026年11月6日株式会社ネイティブクリエイション

営業の担当替えは、年度の変わり目や異動、退職のたびに起きます。引き継いだ側が困るのは、取引の履歴そのものより、前の担当とお客様のあいだでだけ通じていたことです。月末は電話をしない約束だった。見積もりはいつも二案出していた。「例の件」で話が通じていた。こういうことは、引き継ぎ書のよくある項目には出てきません。

引き継ぎ書には、数字の欄を埋めるより、お客様が言った言葉と、前の担当がしていた約束を残します。担当変更のあいさつは、前任者から先に入れます。引き継いだあとの最初の何回かは、前の担当のやり方を変えません。これだけで、担当替えのたびに取引が細っていくことはかなり減ります。

担当替えで離れるお客様は、どこに引っかかっているか

私が営業になって何年目かのころ、異動した先輩の取引先を十数社まとめて引き継ぎました。引き継ぎ書はきちんとしていて、取引の金額も、窓口の方の名前も、進んでいる見積もりも全部書いてありました。

3回目に訪ねたある会社で、窓口の方に言われました。

「前の方は、見積もりを持ってくる前に一度電話をくれたんですけどね。上に通す前に、私が中身を見ておきたいので」

引き継ぎ書には、どこにも書いていないことでした。先輩にとっては当たり前すぎて、書くことだと思っていなかったんだと思います。

お客様から見ると、担当者のやり方は取引の一部です。後任の腕がどうかより、「前の人とのあいだで決めていたことが、伝わっていない」と感じたところで、気持ちが少し離れます。もう一つ嫌がられるのが、前の担当に話したことを最初から全部聞かれることです。どちらも、引き継ぎで残すものを変えれば防げます。

引き継ぎ書に書く項目と、抜けやすいところ

項目そのものは、どの会社の引き継ぎ書でもあまり変わりません。差が出るのは、それぞれの項目の「抜けやすいところ」を書いてあるかどうかです。

項目書くこと抜けやすいところ
お客様の基本会社名、窓口の方、決める人、部署の関係窓口の方と最後に決める人が違うこと
取引の履歴契約の内容、価格、これまでの注文なぜその値段になったか、値引きの経緯
進んでいる案件提案や見積もりの中身、次の約束の日口頭でした約束、「次回までに調べます」の宿題
お客様の言葉困っていること、こだわりを言ったとおりに要約したときに消えた言い回し
前の担当のやり方連絡の頻度、時間帯、電話かメールか「月末は電話しない」のような暗黙の約束
気をつけること過去のトラブルやクレームと、その収め方前の担当が気まずくて書かないこと

いちばん抜けるのは最後の行です。過去に納期で揉めた、請求を間違えて謝りに行った。前の担当にとっては思い出したくない話なので、書かずに済ませがちです。けれど後任が知らずに同じ話題に触れるのが、いちばん危ない。ここは上司が引き継ぎの面談で、「この会社で何か揉めたことはある?」と口で聞いて、聞いた内容を書き足すほうが確実です。

値引きの経緯も同じくらい大事です。「去年、競合と比べられて5%下げた」という事情を知らないまま、後任が通常の価格表で見積もりを出すと、お客様は値上げされたと受け取ります。

お客様の言葉は、言ったとおりに残す

引き継ぎ書の「課題」の欄に「在庫管理」と書いてあっても、後任には何も伝わりません。お客様が実際に言ったのは、たとえば「在庫の確認のたびに倉庫に電話している。夕方は誰も出ないから、返事が翌日になる」だったはずです。

言ったとおりに書いてあれば、後任は最初の訪問で「倉庫への電話の件、その後いかがですか」と聞けます。前の担当と話したことを覚えてもらえている、とお客様が感じるのは、こういう一言です。

正直、前の担当に全部の言葉を思い出して書いてもらうのは無理があります。商談の録音や議事録が残っていれば、後任が自分で聞いて拾えます。全部聞き直す必要はありません。直近の商談と、値段や条件が決まった回だけで足ります。議事録をAIで作っている場合は、要約よりも文字起こしのほうを見ます。要約では、お客様の言い回しが丸められていることが多いからです。注意点は商談の議事録をAIで残すときの注意に、録音をチームで見られるようにするときの決めごとは営業の通話録音を共有する前に決めることに書いています。

AIコンシェルジュ AICA

読んで気になったことは、AICA にそのまま聞けます

お名前も連絡先も入力はいりません。声でも文字でも話せます。導入の相談になりそうなら、AICA が担当者につなぎます。

電話で話す 050-1725-2350

同行は何回、どう回るか

取引の大きいお客様や、付き合いの長いお客様には、前任と後任がそろって訪ねます。1回目は前任者が話し、後任は紹介される側に回ります。名刺を渡したら、あとは聞き役で十分です。2回目が取れるなら、今度は後任が話して、前任者は横で補います。2回目があると、お客様は「この人に話しても大丈夫そうだ」と確かめられます。

全部の取引先に同行するのは、たいてい時間が足りません。分け方は、うちではおおむねこうしています。

退職日が迫っていたり、遠方だったりして訪ねられないときは、オンラインの顔合わせを15分でも入れます。顔を一度見ているかどうかで、後任からの最初の電話の受け取られ方が違います。

担当変更のあいさつは、前任者から先に

あいさつの順番は、前任者からの連絡が先です。電話か、会ったときに口で「担当が替わります」と伝え、そのあとに前任者からメールを送ります。後任はそのメールに同席する形で入れておき、後任からの連絡はそのあとにします。

後任からいきなり「このたび担当になりました」と連絡が来ると、お客様は、前の担当に何かあったのかと考えます。前任者の口から聞いていれば、そこで余計な心配をさせずに済みます。

前任者のメールは長くなくてかまいません。「〇月から、御社の担当を△△に引き継ぐことになりました。これまでのご相談の内容は、△△にすべて伝えてあります。来週、△△と一緒にご挨拶に伺えればと思っています」くらいで足ります。退職のときに理由を詳しく書く必要はありません。どこまで書くかは社内の決まりに合わせます。

後任の最初の連絡では、引き継ぎで知ったことを一つだけ添えます。「先月ご相談いただいた倉庫の在庫の件、前任から聞いております」。何でも知っています、という見せ方はしません。一つで十分伝わりますし、細かいところまで並べると、かえって「どこまで話が回っているのか」と身構えられます。

引き継いだあとの最初の1か月

最初の1か月は、前の担当のやり方を変えないでおきます。連絡の頻度も、見積もりの出し方も、電話かメールかも。変えたいことがあっても、3回目に会うころまで待って、「これからはこうさせていただいてもいいですか」と一言断ってから変えます。

前任者に聞ける期間も、先に決めておきます。異動なら社内にいるので聞けますが、相手も新しい仕事で忙しいので、質問は週に一度まとめて聞くくらいがちょうどいい。退職の場合は最終日までしか聞けないので、引き継ぎの最初の週に、分からないことを全部出し切ります。

値段の話を自分から持ち出すのも、最初のうちは控えます。担当が替わったとたんに値上げや条件の見直しの話が出ると、お客様は担当替えそのものをその口実だったと受け取りかねません。

それと、もし後任が最初の訪問で聞き直すことになったら、聞く順番を考えておくと楽です。私は「前の担当からはこう聞いています。今も変わっていませんか」と、知っていることを先に言ってから確かめる聞き方にしています。ヒアリングの組み立ては商談のヒアリングで聞くべき質問と順番(note)に書きました。

退職が決まった人に、2週間で30社分の引き継ぎ書を丁寧に書いてもらうのは、現実には難しい話です。そのときに後任が頼れるのは、ふだんから残していた商談の記録だけです。誰の担当のお客様でも、商談の録音や議事録を会社で決めた場所に置いておく。それが、急な担当替えのときにいちばん効きます。

よくある質問

営業の引き継ぎ期間は、どのくらいとればいいですか
決まった長さはありません。取引先の数と、一緒に訪ねる必要のある会社の数で変わります。先に同行が必要な会社を数え、その訪問の回数と前任者の残りの日数から逆算して、足りなければ同行をオンラインの顔合わせに置き換えます。
前任者が退職していて、もう話が聞けません
残っているメール、見積もり、議事録、録音を、お客様ごとに日付の順に並べるところから始めます。お客様には「引き継ぎが十分でなかったところがあるので、確かめさせてください」と正直に伝え、聞くことを絞ります。前の担当と話した内容を一から全部聞き直すのは避けます。
担当変更のあいさつは、メールだけで済ませてもいいですか
決まった注文だけのお客様なら、メールでもかまいません。取引の大きいお客様や、進んでいる案件があるお客様には、電話か対面で先に伝えます。どちらの場合も、前任者の名前で先に連絡を入れてから、後任が連絡します。
引き継ぎ書は、どんな形で残せばいいですか
形式よりも置き場所が大事です。個人のパソコンや手帳ではなく、会社で決めた場所に、お客様ごとにまとめて置きます。そうしておけば、次に担当が替わったときにも、同じ引き継ぎ書に書き足していけます。