営業の通話録音を共有する前に決めること聞く人・残す期間・お客様への告知

営業電話の録音をチームで共有するなら、録音を始める前に決めておくことがあります。誰が聞けるか。査定に使うかどうか。いつ消すか。お客様にどう伝えるか。この四つです。
録音の設定そのものは、たいていすぐ終わります。困るのはそのあとで、メンバーから「自分の電話、誰が聞いてるんですか」と聞かれて誰も答えられない、というのがいちばんよくある詰まり方です。決めたことは、録音を始める前にメンバーへ伝えておきます。
※ 本記事は一般的な情報です。録音の取り扱いについて法的な判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
「誰が聞いてるんですか」に答えられるように
共有の範囲は、だいたい四段階に分かれます。
| 聞ける人 | 向いている使い方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 本人だけ | 自分で聞き返して直す | 聞き返さない人は、ずっと聞かない |
| 本人と上長・リーダー | 週に一度、一緒に1本聞く | 上長が聞く時間を先に決めておく |
| チーム全員 | 良かった電話を全員で聞く | 本人が選んだ電話だけにする |
| 研修の素材として社内に | 新人に聞かせる手本 | お客様の名前や会社名がわからない形にする |
最初は「本人と上長・リーダー」から始めるのが無難です。チーム全員で聞くのは、本人が「これを聞いてほしい」と選んだ電話だけ。上長が勝手に選んだ電話を全員の前で流すと、録音は一気に嫌われます。
電話の仕組みの側でも、聞ける人を分けられることが多いです。たとえば Zoom Phone は、管理者が全員の録音を聞けて、役割の設定で、どのグループの録音を誰が聞けるかを決められます。Amazon Connect にも、担当の範囲の外の録音を聞けないようにする権限があります。設定で絞れるところは、決めたとおりに絞っておきます。
査定に使うかどうかは、最初に言う
録音を育成に使うのか、人事の評価にも使うのか。ここを言わないまま始めると、メンバーは評価に使われる前提で動きます。
そうなると何が起きるか。うまくいった電話しか「聞いてください」と持ってこなくなります。本当に聞きたいのは、断られた電話や、途中で話がかみ合わなくなった電話なのに。
育成に使うだけなら、「点数をつけて査定に使うことはしない」と一言はっきり伝えておく。逆に評価にも使うなら、何をどう見るのかを先に示しておく。どちらにするかは会社の方針で、どちらが正しいということはありません。言わないのがいちばんよくない、というだけです。
人事の評価に録音を使う場合の扱いは、社内の就業のルールとも関わります。社内のルールや専門家に確認してから決めてください。
チームで聞くのは、切り出した場面だけ
1本の電話をまるごと全員で聞くと、時間がかかるうえに、お客様の名前や会社名、話の中で出た事情まで全員の耳に入ります。
チームで共有するのは、話題にしたい場面の前後1分くらいで足ります。「受付の方に取り次いでもらえた一言」「価格を聞かれた直後の返し」のように、場面を決めて聞く。どこから聞けばいいかを本人が書き添えておくと、聞く側も楽です。
文字起こしや AI の要約も、録音と同じ扱いにしておきます。文字になると、チャットに貼ったり資料にコピーしたりが簡単になるぶん、音声より外に出やすいんですよね。研修の資料に使うときは、お客様の名前や会社名を伏せて、言い回しだけを残します。
録音の振り返りをどう回すかは、テレアポの録音で振り返る、トーク改善のやり方に書いています。
残す期間と、消し方
録音は、放っておくとたまる一方です。残す期間は、何に使うかから逆算して決めます。週に一度の振り返りに使うだけなら、そんなに長くは要りません。手本として残したい場面は、選んで別に保管し、それ以外は期間がきたら消す、という分け方が扱いやすいです。
電話の仕組みに、期間を過ぎたら自動で消す設定があるなら使います。Zoom Phone には保存期間を決めて自動で消す設定がありますし、Amazon Connect は録音が自社の保存場所(Amazon S3)に入るので、そちらで期限を決めます。
いちばんの抜け道は、ダウンロードしたファイルです。誰かのパソコンやチャットの添付に残ったものは、自動では消えません。ダウンロードできる人は最初は絞っておき、共有は保存場所のリンクで行う、と決めておくと散らばりにくくなります。
退職した人の録音をどうするかも、このときに一緒に決めておきます。
録音にはお客様の情報が入るので、残す期間や使い道は、自社のプライバシーポリシー(個人情報の取り扱い)と合っているかも確かめておいてください。
お客様への告知
ここは営業のやり方だけでは決められないところです。業種や扱う情報によって、求められることが変わります。社内のルールと、必要なら専門家に確認してから決めてください。
そのうえで、伝え方の選び方としては、だいたい次のどれか、または組み合わせになります。
- 電話の仕組みで、録音の案内の音声を自動で流す
- 営業が最初の一言で、自分から録音していることを添える
- Webサイトのプライバシーポリシーに、通話を録音することと使い道を書いておく
Zoom Phone のように、着信のときに録音してよいかをお客様に選んでもらう設定を持っている仕組みもあります。
営業の現場の感覚でいうと、自動の案内が流れる場合でも、最初に自分の言葉で添えたほうが空気はやわらかくなります。「品質向上のため録音させていただいております。○○社の△△と申します」。これを自然に言えるようになるまで、新人は少し練習が要ります。
お客様から「録音しないでほしい」と言われたときにどうするかも、決めておきます。その場で録音を止めるのか、止められない仕組みならどう答えるのか。担当者が電話口で迷わずに済むようにしておきます。
録音を嫌がるメンバーには
自分の声を聞かれるのが苦手な人はいます。新人ならなおさらです。
効くのは、上の人が先に自分の録音を出すことです。うまくいかなかった電話も含めて。「この返しは、いま聞くと恥ずかしいんだけど」と言いながら流すと、聞かれる側の身構え方がだいぶ変わります。新人に自分の昔の録音を聞かせていた話は、note の新人営業の育て方、最初の3か月で教えることにも書きました。
チームで聞くときは、まず良かった一言から話す。惜しかったところは一つだけにして、言い直しの案と一緒に出す。これを毎回続けていると、そのうち本人のほうから「この電話、聞いてもらえますか」と持ってくる人が出てきます。
決めたことは、紙一枚に書いて最初の週に配っておきます。聞ける人、査定に使うかどうか、消すまでの期間、お客様への伝え方、それから録音を止めたいときの連絡先。
録音を残すための電話の仕組みや AI の評価ツールの選び方は、営業電話のAIツールの選び方にまとめています。
読んで気になったことは、AICA にそのまま聞けます
お名前も連絡先も入力はいりません。声でも文字でも話せます。導入の相談になりそうなら、AICA が担当者につなぎます。
よくある質問
- 通話録音を人事の評価に使ってもいいですか?
- 会社の方針と、社内のルールによります。使う場合は、録音を始める前に、何をどう見るのかをメンバーに伝えておきます。育成のためだけに使うなら、「査定には使わない」と最初にはっきり言っておくと、うまくいかなかった電話も共有されやすくなります。法的な判断が必要な場合は、専門家に確認してください。
- 録音のファイルをチャットで送って共有してもいいですか?
- できれば避けたほうがいいです。チャットに添付したファイルは、録音の保存期間がきても消えずに残ります。共有は保存場所のリンクで行い、ダウンロードできる人を絞っておくと、ファイルが散らばりません。
- AI の文字起こしや要約も、録音と同じように扱いますか?
- 同じに扱います。文字になった会話はコピーや転記がしやすく、音声よりも社内外に広がりやすいからです。聞ける人と残す期間は、録音と同じ決めごとをそのまま当てはめます。
- お客様から録音を消してほしいと言われたら、どうしますか?
- 誰が受けて、どこまで対応するかを先に決めておきます。録音だけでなく、文字起こしや、ダウンロードされたファイルがないかも確かめる必要があります。対応の範囲は、自社のプライバシーポリシーと、必要なら専門家に確認して決めてください。





