営業電話のAIツールの選び方通話録音のAI評価とZoom Phone・Amazon Connect

営業電話のAIツールを選ぶときは、「電話をかける仕組み」と「録音を評価する仕組み」を分けて考えると話が早くなります。Zoom Phone や Amazon Connect のような電話の仕組みは、いまや録音も文字起こしも要約も持っています。ただ、それで営業のトークが良くなるかどうかは別の話で、決め手になるのは評価の側です。
費用も、仕組みによって組み立てがまったく違います。利用者一人ごとの月額で払う形と、使った分だけ払う形。どちらが安いかは、電話の量と人数で決まります。
電話の仕組みと、評価の仕組み
営業電話に関わるツールは、大きく二つの役割に分かれます。
一つは、電話をかけて、受けて、録音を残す仕組みです。クラウドPBX、Zoom Phone、Amazon Connect などがここに入ります。会社の番号で発信できるか、在宅でも同じ番号が使えるか、録音が自動で残るか、を受け持ちます。
もう一つは、残った録音を聞いて、何が良くて何が足りなかったかを返す仕組みです。文字起こしや要約は電話の仕組みに付いていることが多いのですが、営業の育成のために「どの一言をどう言い直すか」まで返すものは、電話の仕組みとは別のツールで用意することが多い。
一つの製品で両方を持っているものもあれば、電話は Zoom Phone、評価は別のツール、という組み合わせもあります。どちらでもかまいません。先に決めたいのは、録音を何に使うかです。品質の管理なのか、育成なのか、日報の手間を減らしたいのか。ここが決まらないうちに製品を比べると、機能の数で選んでしまいます。
Zoom Phone で、録音まわりはどこまでできるか
Zoom Phone は、会社の電話をクラウドに移す、いわゆるクラウドPBXとして使う形です。ふだん Zoom の会議を使っている会社なら、同じアプリで外線も扱えます。
録音には、管理者が設定しておく自動録音と、通話中に本人がボタンで始める録音の二つがあります。自動録音は、着信だけ、発信だけ、両方、から選べます。営業のグループだけ発信を自動で録る、という分け方もできます。
録音の始まりに相手へ案内の音声を流す設定や、着信のときに「録音してよいか」を選んでもらう設定、一定の間隔で小さな音を鳴らす設定もあります。発信のときに同意を取る設定は、会社全体か拠点の単位でしか決められません。
録音の文字起こしは、設定で許可しておくと使えます。AI による通話の要約もあり、通話のあとに通話履歴から読めます。ただし公式の説明には、一部の地域や業種では AI の機能が使えない場合があること、個人情報を自動で伏せる機能は英語の内容が対象であることも書かれています。
管理者は通話履歴から全員の録音を聞けて、役割の設定で、誰がどの録音を聞けるかを分けられます。保存期間を決めて自動で消す設定もあります(有効にした場合の初期値は180日、1日から4000日の間で変えられます)。
使える機能は、通話プランやライセンスで変わります。日本向けには、発信を分単位で払うプランと、国内の発信が月額に含まれるプランがあります。
Amazon Connect で、録音まわりはどこまでできるか
Amazon Connect は、どちらかというとコールセンターを作るための仕組みです。公式の手引きは、いま「Amazon Connect Customer」という名前で書かれているページが多いので、検索するときはそちらも入れると見つけやすいです。
録音は、電話の流れ(フロー)の中に置くブロックで、どの電話を、営業側・お客様側・両方のどれで録るかを決めます。録った音声は、自社用に用意される保存場所(Amazon S3)に暗号化されて入り、通話が終わって少しすると聞けるようになります。担当者が自分の担当の範囲の外の録音を聞けないようにする権限の設定もあります。
会話の分析を有効にすると、文字起こし、お客様の感情の動き、営業とお客様それぞれが話した時間と沈黙の時間などが出ます。名前や住所、カード番号のような情報を文字起こしと録音から伏せる機能、生成 AI による通話後の要約、評価シートの答えを AI に埋めてもらう機能もあります。評価シートを AI に自動で埋めて提出させる場合、1件の通話につき AI が答える質問は10問までです。
どの機能が日本語に対応しているかは、機能ごとに公式の対応言語の一覧に載っています。使う前に、要約や伏せ字の行を確かめておいてください。
自由に組めるぶん、設定する人が社内に一人は要ります。フローも権限も、誰かが作って、直していく前提です。
クラウドPBX全般で見るところ
Zoom Phone 以外のクラウドPBXも、仕組みは似ています。主装置を会社に置かず、パソコンやスマホのアプリで会社の番号を使う。利用者一人ごとの月額が基本で、録音はオプションになっているものもあります。
営業の目線で確かめておきたいのは、録音がどこに、どれだけの期間残るか、ファイルとして取り出せるか、の三つです。あとから評価のツールに録音を渡すつもりなら、取り出せる形式と手間は先に見ておいたほうがいい。
もう一つ、営業がスマホの標準の電話アプリからかけた電話は、会社の仕組みには残りません。録音を育成に使いたいなら、営業の電話はアプリからかける、という決めごとが要ります。
費用の組み立ては、二つの型に分かれる
金額は各社の公式の料金ページで確かめてください。単価は地域や番号の種類で違い、改定もあります。ここでは、何にお金がかかるかの組み立てだけ並べます。
| 費用の項目 | 一人ごとの月額型(Zoom Phone、多くのクラウドPBX) | 使った分だけの型(Amazon Connect) |
|---|---|---|
| 基本の料金 | 利用者の人数ぶんの月額 | 席ごとの月額はなく、音声を使った分数で計算 |
| 通話料 | プランによって、分単位か、国内の発信が月額に込み | 通話の分数ごとに、別に電話会社側の料金 |
| 電話番号 | 番号ごとの料金がかかる場合がある | 番号を持っている日数ぶん |
| 録音の保存 | プランの範囲内か、録音のオプションとして | 自社の保存場所(Amazon S3)の料金 |
| AI の分析・要約 | ライセンスや追加の契約で変わる | 会話の分析を使った分が別にかかる |
| 立ち上げ | 番号の移し替えや設定 | フローや権限を作る手間(社内か外部か) |
人数が少なく、電話をかける週とかけない週の波が大きいチームなら、使った分だけの型が合いやすい。毎月の金額を固定して予算を読みたい会社なら、一人ごとの月額型のほうが落ち着きます。
自社の場合を見積もるなら、1か月の発信の件数と、1件あたりの通話時間、電話をかける人数、録音を残す期間の四つを出しておくと、どちらの料金ページでも計算できます。
AI評価は「言い直す一言」まで出るかで見る
文字起こし、要約、話す割合、沈黙の長さ。ここまでは、電話の仕組みに付いた分析でもかなり出ます。管理者がチーム全体の傾向を見るには、これで足ります。
ただ、正直なところ、営業の本人がそれを見ても、次の電話で何を変えればいいかはわかりにくいんですよね。「話す割合が高めです」と言われても、どこで黙ればよかったのかは書いていないからです。
育成に使うつもりなら、選ぶ前に次の点を確かめておくと迷いにくくなります。
- 評価の観点を、自社の商材や営業の流れに合わせて決められるか
- 点数の根拠として、実際の発言が示されるか
- 結果が管理者だけでなく、電話をかけた本人に届くか
- 社名や商品名など、自社の言葉が正しく文字になるか(自分の電話を1本録って確かめる)
- 苦手な場面を、本番の前に練習できるか
録音の振り返りをチームでどう回すかは、テレアポの録音で振り返る、トーク改善のやり方に、AI を相手に練習するやり方はAI営業ロープレのやり方と採点の観点にまとめています。断られた直後の一言を録音から拾って直す話は、note のテレアポの切り返しトーク、断られた直後の一言で変わることに書きました。
ツールを入れる前に、録音を誰が聞けて、いつ消して、お客様にどう伝えるかも決めておきます。こちらは営業の通話録音を共有する前に決めることに分けて書いています。相手への伝え方や同意の取り方は、社内のルールや、必要なら専門家に確認して決めてください。
読んで気になったことは、AICA にそのまま聞けます
お名前も連絡先も入力はいりません。声でも文字でも話せます。導入の相談になりそうなら、AICA が担当者につなぎます。
よくある質問
- Zoom Phone や Amazon Connect だけで、営業電話の AI 評価までできますか?
- 録音、文字起こし、要約、話した時間や沈黙の分析まではできます。Amazon Connect には、評価シートの答えを AI に埋めてもらう機能もあります。ただ、営業のトークを「どの一言をどう言い直すか」の単位で返すところまで求めるなら、評価の観点を自社に合わせて作り込むか、営業の育成向けのツールを組み合わせることになります。
- 通話録音の AI 評価は、日本語の電話でも使えますか?
- 使えるものは多いですが、機能ごとに対応が違います。Zoom Phone の個人情報を伏せる機能は英語の内容が対象で、Amazon Connect は機能ごとに対応言語の一覧があります。社名や商品名の聞き取りにも差が出るので、自社の電話を1本録って、文字起こしと結果を読んでから広げると安心です。
- 一人ごとの月額と、使った分だけの料金では、どちらが安くなりますか?
- 電話の量と人数で変わります。毎日まとまった本数をかける人が多いなら、国内の発信が月額に込みのプランが読みやすい。かける量に波がある少人数のチームなら、使った分だけの型が合うことがあります。1か月の発信件数と平均の通話時間を出して、公式の料金ページで両方を計算してみてください。
- 営業がスマホでかけている電話も、録音して評価できますか?
- 会社の電話の仕組みのアプリから発信すれば、録音の対象にできるものが多いです。スマホの標準の電話アプリから直接かけた電話は、会社の仕組みには残りません。録音を育成に使うなら、営業の電話はアプリからかける、と決めておく必要があります。





